キャリアとノンキャリは仲が悪い?
【警察の区分と階級制度】

Xin chào các bạn!

どうも!

元警察官、現在ホーチミン在住のMirai です

先日スタートした新企画「警察官の本音」、今回は記念すべき第一弾察の区分と階級制度】について書いていこうと思います!

と、いうのも

・大卒で警察官なの?じゃあキャリア組じゃん♫
・キャリアとノンキャリって、青島刑事と室井さんみたいな感じで仲悪いんでしょ?
・警視庁で働いてんの?すげー!
・刑事って交番のお巡りさんより偉いんでしょ?

などなど…
元警察官ということで、警察に関するこの手の ”先入観と誤解に満ちた質問” をされることがホントに多いです笑

…ですが、予め言っておきます
上に挙げたことの”95%は間違い” です笑

と、いうことで、今回はそんなみなさんの誤解を解くべく、警察という組織の区分・階級制度について解説していきます

ですが、今回書く情報の大半は一般に公開されている情報です笑
いかに警察官が世間から、良くも悪くも誤解されているかが分かると思うので笑、その辺りも含めて楽しんでもらえればと思います♫

キャリア・ノンキャリアについて

まずはよく聞く、警察官の”キャリア/ノンキャリア” についてです

警察官の採用区分

結論からお話すると、キャリア/ノンキャリアの違いは採用区分の違いです!

具体的には以下の通り

・キャリア=警察庁採用(国家一種・国家公務員)
・セミキャリア=警察庁採用(国家二種・国家公務員)
・ノンキャリア=各都道府県採用(地方公務員)

キャリア組というのは、国家一種試験を通過し、あの人事院の官庁訪問を経て内定を勝ち取った猛者なのですね笑
採用区分も警察庁採用となるので、身分は国家公務員となります
ご想像の通り、狭き門であるキャリア組は超エリート!いわゆる”官僚”ってヤツです(東大や京大、最低でも旧帝大でしょうね)

また国家二種採用という枠のセミキャリアというのもありますが、こちらもキャリアほどではないものの、警察庁採用・国家公務員のエリート組です

そして、みなさんに一番馴染みのある「◯◯県警」と名のつく警察官が各都道府県採用地方公務員、いわゆるノンキャリア組なのです

みなさんが交番や警察署で会ったりする警察官のほぼ100%が県採用のノンキャリア組です(ちなみにぼくもノンキャリアの地方公務員でした笑、なのでエリートなんかではありません笑)


で、なぜキャリア組とノンキャリア組で採用区分が違うのかというと、”業務内容が全く異なるから”です!

ざっくり言うと、キャリア組は警察組織の運営管理や制度構築中心ノンキャリア組は現場中心といった感じです
*ですがキャリア組でも現場研修などがあることに加え、実際事件を手掛けている人たちもいます
またノンキャリア組でも管理職クラスである幹部は運営管理や制度構築も行うので、あくまでざっくりです笑


また、キャリア組の人数は600〜1000名ほどと言われており、全国の警察官総数が30万名弱いることを考えるとかなりの狭き門ですね笑

ちなみに、踊る大捜査線の青島刑事、和久さん、すみれさんはノンキャリア組、室井さんはキャリア組という設定です♫

採用区分と階級

次に警察官の階級についてですが、詳しくは以下の通りです

警察官の階級
引用:警察庁HP

”階級がキャリアとなんか関係あんのー?”と思うかもしれませんが、それが大アリなのです笑

なんとキャリアとノンキャリで、階級のスタート地点が違うのです!

・キャリア=警部補からスタート(採用後、警察大学校へ入学)
・セミキャリア=巡査部長からスタート(採用後、警察大学校へ入学)
・ノンキャリア=巡査からスタート(採用後、各都道府県の警察学校へ入学)

上記の通り、採用時点でキャリア組はノンキャリよりも2階級上からスタートするのです

この「2階級」というのは警察官にとってかな〜り大きく、ノンキャリで警部補の階級になるのは大体40歳手前くらい(大卒ストレートでも30前)ということを考えると、採用の時点(22歳)で警部補というのは、もう競争する気にもならないくらい差があるということなのです苦笑

また、キャリア組は2〜3階級は年次で自動的に昇進していくので、毎回試験を受けて昇進していくノンキャリに逆転のチャンスはまずありません笑

ぼくも刑事課へ異動になった時、課長代理(警部)の席に若くて綺麗なお姉さんがいるな〜、と思いながら ”よろしくおねがいします!” と挨拶へ行ったら「Mirai 部長(巡査部長)、私と同い年ですね笑」って言われた時は ”これがキャリアかー!” とビビりました笑

要するに入口が違う”のです

*ノンキャリにも高卒(短大卒)・大卒で採用が分かれてますが、警察学校(初任科)の期間や昇任試験の受験資格を得るまでの年数が違うくらいで、採用後のキャリアに区別はありません

キャリアとノンキャリって仲悪いの?

「事件は会議室で起きてじゃない、現場で起きてるんだ!」

はい、かの有名なセリフですね笑

このセリフで象徴されているように、「キャリアとノンキャリって仲悪いの?確執とかホントにあんの?」なーんて質問をよくされます

…が、正直「キャリアとノンキャリの仲が悪いということはほとんどありません!」

キャリアの人たちは、若くして階級(役職)が上になるので、必然的に”年下の部下”を数多く持つことになりますが、ほとんどのキャリア組の方が階級が下の警察官(部下)に対しても、しっかりと礼儀と敬意をもって接してくれます

というのも、やはり現場では知識も経験もノンキャリの警察官の方が圧倒的に上なので、逆にキャリア組の方が質問してくる、という場面が多々あります

ま、そりゃそうですよね笑
いくら有名大卒のエリートといえど、長年第一線で経験を積んできたベテランの警察官に敵う訳がありません

それに何と言っても、実際の業務ができないのに、キャリア組だからって階級を盾に偉そうにしてたら、部下から一瞬で干されます笑

…ただ、キャリア組の方達は頭の回転が早く、キャッチアップもめちゃめちゃ早いので、みるみるうちにこなせる仕事が増えていきます、この辺りはさすがエリートですね笑

ぼくの刑事時代のキャリアの上司も、部下一人ひとりをしっかり見てくれる、とても謙虚な方でした!

また、ノンキャリの方々も年下のキャリア組上司に劣等感を持っているということはほとんどなく、現場の経験で培われた”圧倒的な職務執行力”というプライドを持って仕事をしていると思います


もちろん仲が悪い人もいますが、それはキャリアどうのこうのよりも、”人として仲が悪い” といった方が適切だと思います笑

現場での職務執行力に勝るものはない
現場での職務執行力に勝るものはない

*今回の説明では割愛してますが、キャリア組の専門職(技術職)採用や、ノンキャリの行政職採用など、他にも区分はたくさんあります
一口に「警察」といってもいろんな種類があるのです

各都道府県の警察官

さて、次は各都道府県採用の警察官についてです!

各都道府県で採用される警察官

上記の通り、各都道府県で採用される警察官は地方公務員、いわゆるノンキャリ組となります

採用区分は県によって異なるので、基本的に県をまたいだ異動はありません(派遣・出向となる)

なので、「大学卒業後、広島県警で働いてきたけど、そろそろ地元の福井県警に戻りまーす」なーんんてことは原則できません(採用試験を受け直せば可能です)

都市部の警察官と地方の警察官

各都道府県警に上下関係はなく、基本的には各県警全て同等です

ただ、傾向としてはやはり都市部の大規模県警の方が管区(引用:警察庁HP)での影響力が強いですね…
やはり人数が圧倒的に違うので…

例を挙げると、ぼくの地元の福井県警では警察官の総数が2000名ほどですが、警視庁では4月採用の警察官(大卒)の定員が2000名(警視庁の警察官は4万3000名ほど)、というくらい違います笑


とはいえ、都市部の県警の方が偉い、というようなことは全くありません
都市部の県警は専門性の高い”スペシャリスト”地方の県警は何でもこなせる”ジェネラリスト” という感じです

実際ぼくは都市部の大規模県警で働いていたので、他県の警察官と業務を一緒に行った時、彼らの知見を持つ業務範囲の広さに驚かされました

要は各県警、お互いリスペクトしあってるってことです♪

各県警でそれぞれの良さがある
各県警でそれぞれの良さがある

警視庁って何?

ここでもう一つ、基本的なことをおさらいしておきましょう

「さっきから”警視庁”って出てきてるけど、”警視庁”って偉いんだよね」
「本庁ってやつだよね!なんか格好いいし」

けっこうこんな質問もされますが、ハッキリ言ってこれは誤解です


”警視庁” も、他の◯◯県警と同じランクで、東京都の県警なのです
なので警視庁の警察官もノンキャリの地方公務員です

また、本庁というのは警察庁のことで、警視庁は東京都の都道府県警です

”警視庁は東京都警の格好いい呼び方”、だと思ってもらえればけっこうです笑

まとめるとこんな感じですね

・警視庁=東京都警
・本庁=警察庁

なんだかややこしいですが、警察の世界ではもちろん常識中の常識です笑

なので、上記の通り警視庁だからといって他の県警より偉いということはありません(…でも警視庁って呼び方は確かに格好いいですよね〜笑)

警察の部署分け

最後に警察の部署分けについてです

警察の部署

以下例として愛知県警を挙げますが、基本的にどの県警もこんな感じです

愛知県警組織図
引用:愛知県警HP

大きくは”警察本部” ”警察署” の二本立て

警察本部は主に大きな事件事故を取り扱い警察署は日々起きる事件事故(現象事案)を取り扱う、といった感じですね

この本部と署の間にも、基本的に優劣はありません(が、本部の方が権力があります笑)

また、本部・署ともに部署分けがあり、それぞれの分野に分かれて仕事をします

各部署の業務内容は概ね上記図の通りなので割愛しますが、この各部署間でも基本的に優劣はありません

ちなみに、警察学校を卒業した警察官は全員まず最初に、各警察署の地域課(交番)へ配属されるので、警察官なら誰もがみな一度は交番勤務を経験しています(ま、お察しのように例外もあるんですけどね笑)

交番勤務は誰もが通る道
交番勤務は誰もが通る道

「刑事」って偉いんでしょ?

また、ぼくは元刑事なので、こんなこともよく言われます

これも上記の通り、「刑事だからといって偉い、ということはありません!」

刑事も他の地域課、交通課などといった”一つの部署” に過ぎないので、基本的には同等です

…ただ、これに関しては実際のところ、権力差はけっこうあります笑(これに関して書き始めると長くなるので、また別の機会に笑)


でもそれより一番は階級ですね笑、…いや、年齢かな笑
警察の上下関係ってややこしくて、「階級・年齢・拝命(採用年度)」が複雑に絡み合ってるのです笑
…あ、部隊の年次とかも関係するな、、、笑(これも話すと長くなるので、別の機会に改めます笑)


とりあえずここでは「刑事も他の部署と同列!別に偉い訳じゃない!」とだけ認識ください笑

まとめ

なんか書き出すとキリがないのでこの辺で止めますが(十分長いよ苦笑)、少し警察の組織について分かってもらえたでしょうか?

これらは基本的に一般公開されてる情報なのですが、警察・刑事モノの映画やドラマの影響か、誤解されてる部分が多いですよね笑

警察時代から、仲の良い友だちなんかにはこんな話をしてき誤解を解いてきましたが、これを機にみなさんにも警察について正しく知ってもらえればと思います!


ちなみに、取調べでカツ丼は出ません笑




ではまた!


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA